取扱疾患

当クリニックの取扱疾患

皮膚に関するアレルギー性疾患に特化した診療をおこなっています。
病気としては、乳児湿疹、アトピー性皮膚炎、じんましん、かぶれ、くすりアレルギーなどですが、最近は赤ら顔の患者さんがたくさん来院されています。

アトピー性皮膚炎
 湿疹、喘息、アレルギー性鼻炎、結膜炎などが家族的に生じやすい体質の家系におこる(ことがある)かゆみが強いことが特徴の湿疹・皮膚炎で、完治しにくく繰り返す特徴があります。しかし、症状が全くない年齢や季節もあります。また、両親は全く健康という家系でも発症することもあれば、両親がアトピー性皮膚炎なのに子供は全くないこともあってまだわからないことが多い疾患です。アトピー性皮膚炎の始まりは乳児湿疹であることが多いのですが、どの年齢から始まっても不思議ではありません。最近のアトピー性皮膚炎は、生活様式、精神的・身体的環境、治療歴などが関連する複雑な様相を呈するようになっています。この病気を考えるには、乳児期、幼児・学童期、中学・高校・成人期、高年期を区別して考えるのがよいと思われます。

乳児期(0~1歳)
 1ヶ月未満の新生児期には、顔中心にいろいろな発疹(例えばにきび)がでることがありますが、1ヶ月を超えるとそれらはみられなくなります。しかしそれに代わって乳児湿疹が始まることがあります。それは顔から赤み(紅斑といいます)として始まりますが、湿疹の勢いが強いときは体や四肢にも広がります。軽いときは赤みだけですが症状が強まると(拡大しないと見えないですが)小さいブツが重なっています(これを小水疱といいます)。2ヶ月にはいりかゆみが強いお子さんは引っ掻きが強まります。引っ掻いた後の小さい血の塊(血痂といいます)がおでこや目の周りにみられます。さらに病気の勢いが強いときは顔に滲出性の皮疹(びらんといいます)が生じます。四肢にも引っ掻きがおこります。体も脱衣したときに引っ掻きが起こります。これは成長とともに手足の動きが活発になるからです。ここに至ると乳児アトピー性皮膚炎ということになります。

乳児期の対応:
 1ヶ月の乳児湿疹(生後30~60日)は、スキンケアの改善のみで治ってしまうことがあります。日頃の間違ったスキンケアを止めて肌を守る程度の軟膏で経過をみます。1ヶ月を超えて引っ掻きがあり血痂や引っ掻きで悪化した皮疹(掻破疹といいます)が現れたときは、かゆみを止める治療を始めることがすすめられます。おそらく皮膚科医の外用薬をもらってすぐによくなることは経験しておられるでしょう。しかしなかには塗るとよくなるが休むとまたかゆみと発疹がでるのでどう対応したらよいか困る赤ちゃんもいらっしゃるでしょう。そのようなときは、かゆみが起こる背景を調べて対策を考えなければなりません。乳児アトピー性皮膚炎と診断がついてもあわてることはありません。石けんやボディソープなどは傷んだ皮膚によくありませんので使わないことが必要です。かゆみを止めることのできる外用剤をみつけだしてじっくり経過をみることがすすめられます。軽症の時は月齢が進むにつれて少しずつよくなってきます。かゆみが強く引っ掻きが続く場合もかゆみを止める効果のあるステロイドをみつけて使い効果をみながら減らしていきます。

 生後1ヶ月で受診の男児

 スキンケアの改善でよくなりました


幼児・学童期(3歳~小中学生)
 2歳を超えて皮膚炎が続くときや新たに発症した場合がこれに当てはまります。この時期のアトピー性皮膚炎はほぼ似かよった特徴を示します。肘と膝の関節の内側、手首、腋の周りなどをよく掻いて皮疹をつくります。季節変動があって夏は汗で悪化、冬は乾燥で悪化します。なかにはかゆみの強いお子さんもあり掻き傷ができることもあります。

幼児・学童期の対応:  
かゆみ止め、アレルギー薬などを飲みながらステロイド外用治療をおこないますが、この年齢は自制できない年齢なのでケアをする家族は大変です。治療も難渋しますがこの時期はがまんしてじっくり成長を待つ覚悟が必要です。

思春期、成人期(16歳~59歳)
 高校生から上の年代を含みます。皮膚症状は幼児・学童期と同じですが、小学生との境界を設けるのは、それを境に自覚、自意識がでてくるからです。具体的には引っ掻きの我慢、治療への積極性が芽生えてきて医療側としては治療しやすくなります。しかし、学校、職場における精神的、身体的ストレスが増えてきますので、その面からの治りにくさが生じてきます。他方、身体は発達し免疫(アトピー性皮膚炎の場合はアレルギー力)が強い年代ですので病気の勢いも強くなると考えられます。

思春期、成人期の対応:  
 自制心は芽生えても自制できない掻破があって肌を強く傷つけるときはそれを抑えることのできる強さのステロイドを充分使って症状を抑え込むことが基本方針です。

高年期(60歳~)
 この年代になると体力もおとろえはじめ、それにつれて免疫力が(アレルギーも)落ちてきます。それで病気の勢いも次第に弱くなってきます。

高年期の対応:  
 強力な治療はしなくてもよい時期になり無理をしなくても生活ができます。


アトピー性皮膚炎のかゆみ
かゆみは四六時中あるのではなく、決まった条件で生じます。例えば起床時、帰宅時、入浴時、花粉暴露時、ストレス時などです。これには個人差がありますので検査を通じて自分のかゆみの特徴を知って自分にとってかゆみができるだけ起こりにくい環境をつくることが大切です。
 かゆいところを引っ掻くというのは意識して掻くこともありますが本来はかゆいところに手がいくのは無意識の神経反応です。夜間知らずに搔いてしまうのはそのせいです。このかゆみ―引っ掻き反応はアトピー性皮膚炎の治療にとって大変厄介な現象です。肌を傷つけ激しいときは湿疹で弱っている表皮をじくじくにしてしまいます。他方、湿疹(小さい水疱ができる状態)ではなく、かゆみが主になる症状では健康な皮膚を引っ掻くことによって皮膚は次第に厚く硬くなったり、アミロイドという物質が点状に貯まったりします。また、結節性痒疹といって豆粒のようなものができることもあります。


アトピー性皮膚炎の治療のまとめ
 当クリニックのアトピー性皮膚炎に対する基本的姿勢は、1人1人異なる悪化要因を発見しその悪影響を取り除く努力をしながら、皮膚の正常機能を回復させる治療をおこないます。まずスキンケアのあやまりを正すことから始まります。それを当クリニックでは基礎治療と呼んでいます。しかし、無意識に引っ掻いてしまい傷をつけるときは薬物療法にはいります。薬物療法としては、かゆみ止め(抗ヒスタミン剤、安定剤など)の内服をベースに5段階のステロイド外用薬を選択して始めます。ステロイドではない新しく出た外用薬などもあります。以上が大体の標準治療です。

重症の方
これらの一般治療でよくならない場合や急性悪化に対してはステロイド内服治療、慢性悪化に対してはシクロスポリン内服療法という全身療法があります。最近は炎症物質に対する抗体療法が顕著な効果を示していますが、治療費が高額のため誰でもということにはなっていません。

当院ではいわゆる脱ステロイドで経過が思わしくない症例にも対応しています。 難治性アトピー性皮膚炎、最重症アトピー性皮膚炎で入院ができない事情がある人の診察を多く引き受けています。

 

食物アレルギー
アトピー性皮膚炎は症状が軽度でも食物に敏感に反応する状態があります。この場合の制限解除は用心深く進める必要があります。

じんましん
蕁麻疹は何らかのきっかけがないと発症はしませんが、このきっかけを誤解している人がたくさんおられるようです。食物に原因を求める方が多いですがそうではありません。体に対する何らかの免疫刺激となる誘因があって、一種のアレルギー状態となったのが蕁麻疹なのです。アレルギー状態は、一般のアレルギー検査で検出できる場合とできない場合がありますが、そのような意味のアレルギー状態にあるのかを理解しておくことが治療上大切です。


治療の流れについて

  •  
  • カルテの作成、問診票の記入

    健康保険証は必ずお持ちください。

    現在の症状、今までの治療について問診票に詳しくご記入いただきます。検査結果やお薬手帳などをお持ちください。。

  • 看護師による問診

    ご記入いただきました問診票に沿って看護師がお話をお聞きします。
  •  
  • 医師による診察と検査

    聞きたいことがあれば予めメモなどにまとめておいてください。